インダクションモーター(誘導電動機)は、電磁気の誘導作用によって回転力を発生するモーターです。
なお、当社で取り扱っているAC小型標準モーターのうち、レバーシブルモーター、トルクモーター、電磁ブレーキ付モーター、防塵・防水モーター、クラッチ・ブレーキ付モーターなどのモーター種類(分類)は、特性や付加機能の違いによるもので、動作原理そのものはインダクションモーターと同じです。
アラゴの円板からインダクションモーターへの置き換え
アラゴの円板を実際のインダクションモーターの部品に置き換えると、磁石はステーターの発生する回転磁界、銅板(導体)はローターに相当します。
ローターは、回転力を効率よく取り出せるようアルミと鉄を使ったかご型ローターとなっています。
回転磁界について
ステーターに発生する回転磁界の様子を、2極モーターのステーターを例に説明します。
インダクションモーターには主巻線と補助巻線の2つの巻線があります。
実際の単相電源で使用するインダクションモーターでは、以下のような接続をしています。
主巻線には電源からの電流がそのまま流れ、補助巻線には進相コンデンサを介して電流が流れます。
このとき、補助巻線に流れる電流は、主巻線に流れる電流に対して、位相が電気角で90°ずれた波形となります。
①~④の各時間において、ステーターには右ねじの法則によって上図のように磁極が発生します。①→②→③→④の時間経過で見ると、①で3時の位置にあったN極が、順に3時→6時→9時→12時というように、あたかも時計方向に回転しているように変化します (ギヤードモータ)。
これがステーターに発生する回転磁界です。
ここで進相コンデンサに接続された補助巻線の電流がない場合を考えます。この場合、上図の②と④の状態がなく、①→③への変化となります。N極の位置は3時→9時と180°変わって、磁極が回転したようにも見えますが、時計方向と反時計方向のどちらの方向から回転したのかが分かりません。
このように単相電源で運転する場合には、進相コンデンサを使って位相がずれた電流を作り出すことで、定まった方向の回転磁界を発生させています。
三相電源でモーターを運転する場合には、進相コンデンサは不要です。
これは、三相電源があらかじめ位相のずれた波形を持っているからです(クローズドループステッピングモータ)。