段階的に回る「ステッピングモーター」
今回取り上げる「ステッピングモーター」は精密制御に欠かせないモーターの1つです。モーター内部の回転子(ローター)へN極とS極の磁石が、歯車のように(交互に)配置されており、フレーム側に固定された電磁コイルにパルスを与えると回転子が決まった角度を移動(回転)します。
「モーター」いえば「通電すると軸が360度、回転し続けるデバイス」という印象ですが、ステッピングモーターは「回転子が決まった角度を連続して移動(回転)するデバイス」です。この決まった角度を「ステップ」(ステップ角)と呼び、モーターの総磁極数で異なります。
制御という観点から見れば、回転角度をセンサーでとらえフィードバックしながら回転を制御することに比べて、開(オープン)ループの制御が可能なので、システム単純化と高精度な制御を両立させることができます。
そして、ステッピングモーターには巻き線の電流を1方向に流す「ユニポーラ型」と、巻き線の電流を双方向に流す「バイポーラ型」と2つのタイプがあります。今回はユニポーラ型のステッピングモーターを制御します。これらの制御には専用のドライブICを使うことが多いのですが、今回は基本に重きを置きたいのでトランジスタを使いてドライバー回路を作製します。
タクトスイッチで動かしてみる
ここではまずステッピングモーターの基本的な動作を確認するため、手動(マイコンでパルスを与えるのではなく、タクトスイッチのON/OFF)で動かしてみることにします。今回はステッピングモーターとして、手元にあったパナソニック「55SPM25D7」を利用しました。
この「55SPM25D7」は既に生産終了していますが、一般的なユニポーラ型ステッピングモーターといえる製品です。タクトスイッチで駆動する場合は他のユニポーラ型ステッピングモーターでも問題ありません。ただし、連載の中では、トランジスタでの駆動にも言及しますので、購入する場合には55SPM25D7に似た電気特性のステッピングモーターの入手をおすすめします。
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