ロボット産業の展望と必要な技術革新

ここまで、ロボット市場の現状と、ロボットが求められる背景について見てきました。とりわけ製造現場では、今後もロボットの活躍が大いに期待されることでしょう。

そこで、次に、産業用ロボットが普及することで製造現場が具体的にどのように変化していくのか、その際に製造メーカには何が求められるのかを解説します。

(1)産業用ロボット普及による製造現場への変化
産業用ロボットの普及が進めば、生産活動や搬送作業などの業務はオートメーション化され、人手がかからなくなるでしょう。機械学習のサポートを行いつつ、システム異常などを改善していくことで、自動化の精度も向上します。

5G技術の導入などにより、生産活動の自動化がさらに進めば、自宅やサテライトオフィスなどの遠隔地から、生産の運用管理を行うことも不可能ではありません。また、新しい価値を提供する製品の研究開発に力を入れることもできます。

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(2)製造メーカが今後意識しておくべき技術革新
ロボット産業においてもグローバル競争が激化している状況であり、生産システムの低コスト化は言うまでもなく重要です。ただ、価格競争を前提とした対策では先細りも懸念されるため、技術力でのグローバルトップを走ることを前提に、トータルコストに着目した生産システムの開発と普及が必要となります。

そのためには、具体的に以下のような要素技術の革新に注力しなければなりません。

①機械要素
機械要素においてロボットの駆動に関わるサーボモータは、動力伝達損失や各種部品の摩耗損失などのさまざまな要因によって、エネルギー伝達率が60から70%に止まっています。引き続き個別の機械要素の改善は必要ですが、システム全体のエネルギー効率向上が必要です。

また、駆動部には潤滑オイルが使用されており、クリーンルーム内でのロボット使用普及拡大のためには、オイルレスやシーリング機構の発展なども欠かせません。

②情報・電力伝達要素
ロボットの動力源は電力であり、送電用ケーブルが使用されています。また、電子制御が必要な機器については、信号伝達系のケーブルも同時接続されています。ケーブルを使用するが故に、産業用ロボットの設置に制約が生まれてもいます。

ロボットのケーブル接続技術も各社にとって強みを出せる領域であり、無線での送電や信号送受信が実現できれば、更なる普及が期待できるでしょう。

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③材料要素
機械要素や情報・電力伝達要素の技術革新には、材料面からのアプローチも重要です。各メーカが材料レベルからの研究開発を行うのは困難ですが、材料メーカとの協業によってこれまでの課題をクリアできる可能性もあります。

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